青春リアルとLife

鈴木謙介さんという方を知ったのは大学1年生の時だと思う。『カーニヴァル化する社会』を読んだのだけれど、よくわかんなかった。

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

それよりも20代で学者として単著を出していることに、ビビった。そんな第一印象だった僕が鈴木謙介さんを「好きだな」と思ったのは以下の本がきっかけ。

ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス)

ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス)

この本は「職業:学者」が書いたとは思えないくらい「感情」が籠っている。そこが好き嫌いが分かれる本だけれども、web社会に希望があるのではないかと勇気づけられた。

で、本題。土曜の22:35分からNHK教育で『青春リアル』という番組に鈴木謙介さんが出演している。この番組は『真剣10代しゃべり場』の系譜なのかもしれないが、真剣10代しゃべり場に比べたら比べ物にならないくらい面白い。余談だけれど、『真剣10代しゃべり場』を友達と皮肉りながら爆笑して見ていた下衆野郎は僕のことです。なんで、比べ物にならないくらい面白いかって言うと、出演者の「多様性」にあると思う。『真剣10代』はぶっちゃけ「厨二病」ばっかりで、見ていて痛々しかった。『青春リアル』に「厨二病」の要素がないかというと、全然そんなことはなく、満載である。けれど、「それ厨二病じゃね」みたいな突っ込みがきちんと入るのがイイ。この「多様性」のおかげで誰かの考えに共感出来る。

この『青春リアル』とコラボレーションもしたTBSラジオの『Life』。僕は『Life』が大好きなのだけれど、何故かと言えば『Life』リスナーはなかなか屈折しているからだ。現実の人間関係もこんな人ばっかりだったら楽しいだろうなあと思ってしまう。でも、たまに挿入されるインタビューに絶句してしまうほどギャップを感じるのは、『Life』という番組がすごい偏った空間だからだろうな。最近、ムサビで行われたトークイベントの模様がpodcastingで配信されているが、その様子ですら違和感がある。僕なんかは屈折してるので「個性と個体差の違いって何よ」とまず思ってしまう。

ちょっと話が逸れたので話を戻すと、『Life』のいいところは何らかの「方向性」を示してくれることだと思う。「こうすればいいんじゃね」と個性的なパーソナリティの方々がヒントをくれる。一方、『青春リアル』は「方向性」は示されない。対立する意見が平行線のまま進んでいくこともある。でも、それはそれでアリだと思う。そう思うんだけど、25分っていう時間は短すぎる。なんかもっと面白くなりそうなんだけどなあ。勿体ないなって思うのはテーマを追いかける期間が短いってことかな。2,3年追いかけて、考え方の変化だとかをまとめてくれると面白いドキュメンタリーになるんだと思う。